形態測定学関連講演アーカイブス
                                                                                                                                                                                       
日本生態学会第59回全国大会 自由集会 W03 2012年  3月17日

道具としての「形態測定学」:量的phenotypingの活用法

企画者: 高橋一男(岡山大・RCIS), 立田晴記(琉球大・農)

形態測定学の戦略的展開:過去・現在・未来 
三中信宏(農環研/東大・農生)

講演要旨: 形態測定学がたどってきた歴史を振り返り,現在われわれが利用している手法の目指している目標を概観した.幾何学的形態測定学はオブジェクトのもつ幾何学的情報を重視する.幾何学の延長線上にある多様体論は数学的な論議をする際の基礎となる.非線形空間のなかで正確な論議を進めることと,線形近似のもとで実践的な解析ツールを利用することが,現時点では共存している.線形数学や線形統計学に基づく形態の変形や変異の解析は,将来的には非ユークリッド空間上の形状の数学や統計学に移行していくのかもしれない.

講演資料(pdfファイル): http://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/R/ESJ2012morphometrics.pdf

シクリッドにおける形態の雌雄差 
高橋鉄美(京大・院理)

講演要旨: ヒトは男女で身長や形態に違いがあります。このことは当たり前のように思えますが、他の生物でもみられる一般的な現象なのでしょうか? また、その原因は何なのでしょうか? このような疑問に答えるため、幾何学的形態測定法を用いてシクリッド魚類について調べてみました。幾何学的形態測定法では、シェイプとサイズを明確に区別することができます。この点が、雌雄間の大きさと形態の違いを別々に解析するのに適しています。

 解析に用いた種類は、繁殖様式(一夫一妻/一夫多妻)と子供の保護様式(メスのみが保護/両親で保護)の異なる5種類を用いました。解析の結果、サイズは繁殖様式と、シェイプは保護様式と関係することが示唆されました。つまり、オスへの性選択の強さ(一夫一妻<一夫多妻)が大きいとオス/メスのサイズ比が大きくなり、またメスのみが保育を行う種類では形態差が大きくなる、といった具合です。

  性選択の強さと体サイズの雌雄差(sexual size dimorphism: SSD)の関係は、ほ乳類や鳥類でも報告されており、一般的な現象かも知れません。また、繁殖に対する役割の違いによって雌雄で形態が違うことも、ヒトを含むほ乳類などでよく知られている現象です。今回の解析では、これらの現象を一度の解析で検出しました。言い換えると、幾何学的形態測定法を用いることにより、サイズとシェイプの雌雄差には別のセレクションが効いていることを明確に示すことが出来たと言うこともできるのではないでしょうか。

  この結果は5種類を使っただけです。この結果をさらにはっきりさせるには、さらに多くの種類を解析する必要があります。

ヤスデ類交尾器おける複雑な雌雄間共進化 
田辺 力(熊本大・教育), 曽田貞滋(京大院・理)

講演要旨: 交尾器進化において、性的コンフリクト、精子競争、雌の選択などの性選択メカニズムがどのように作用しているかはよくわかっていない。この点を明らかにするために、ババヤスデ属とその近縁群を対象に、交尾器形態を構造、相対サイズ、形状に分け、集団を単位に解析を試み、以下の結果を得た。(1)構造:ババヤスデ属とヤマンバヤスデ属(PLクレード)では、雌は交尾時に生殖口(精子の受け口)をそれに付随するジャバラにより体内に引っ込め、細長い雄交尾器はそれを追うように雌体内へと入る。この様式は性的拮抗共進化(SAC)の現れと見ることができる。(2)相対サイズ:PLクレードでは姉妹クレードに比べて雌雄相対サイズが上昇している。これは上記の構造変化に伴うSAC(雌が逃げ、雄が追う)に対応したものであろう。(3)形状:ババヤスデ属では、一部の形状はSACに関係していると思われるが形状進化への他の要因の関与も考えられる。

動物考古学における形態測定学-遺跡出土馬歯の楕円フーリエ解析 
植月 学(山梨県博),津村宏臣(同志社大・文化情報)

ゲノムワイド解析技術が拓く計量形態学 
岩田洋佳(東大・農)

講演資料(pdfファイル): http://lbm.ab.a.u-tokyo.ac.jp/~iwata/seminar/seitai2012/Seitai2012_4handout.pdf

Copyright © Kazuo Takahashi    Last updated: ** Apr 2012